福祉映画祭とは

 

 

「楽しくなければ福祉じゃない」~映画を通して福祉を考える~

 

 1983年9月、AJU自立の家の設立母体となった「愛知県重度障害者の生活をよくする会」(よくする会)の映画好きの仲間の発案で福祉映画祭(映画祭)が始まりました。以来、映画祭はAJU車いすセンターが中心となり、実行委員会形式で、2003年6月に終了するまで、20回の開催を重ねてきました。
 「福祉」というと、「暗い」、「重たい」などといったイメージを抱かせることがありますが、映画祭は「楽しくなければ福祉じゃない」をテーマに、映画評論家の白井佳夫さん、映画監督の柳澤寿男さん(故人)、俳優の天野鎮雄さんを始めとする多くの方の協力と支援を得て、企画、実施をしてきました。
 第1回は、いわゆる俗に言う「福祉」関係の映画を中心に一日に約10本もの映画を上映、4日間も開催するというものでしたが、映画評論家白井佳夫さんから「商業映画と言われる映画にもさりげなく『福祉』を取り上げた作品は沢山ある」とのアドバイスをいただき、その後は、「福祉」関係の作品だけでなく、映画館で上映される作品も上映するようになりました。
 第6回に会場を東海テレビテレピアホールへ移すまでは、区役所の講堂にパイプ椅子やゴザを並べ、柳澤監督自らがフィルムを回してくださるなど、手作り感満載の映画祭でした。
 毎年、3日間おこなわれた映画祭では、映画やVTR等の上映だけでなく、その日、その日のテーマに従って、フォーラムやシンポジウムなどを開催し、来場者と一緒になって考える場や交歓会を設けてきました。テーマも、「障害」だけに限らず、「高齢者」や「こども」などにも焦点をあててきました。
 20回の映画祭には、永六輔さん(放送タレント)、山田太一さん(シナリオライター)、藤子不二雄Aさん(漫画家)、高畑勲さん(映画監督)、東陽一さん(映画監督)、高岡早紀さん(女優)、椎名誠さん(映画監督・作家)、大林宣彦さん(映画監督)、鈴木敏夫さん(スタジオジブリ・プロデューサー)など、多彩なゲストにも出演して頂きました。
 さらに、「バリアフリー上映会」としての取り組みにもチャレンジをしてきました。 もともと、車いすの仲間で始めた事業なので、車いすへの対応は、当初より考えられ、車いすトイレの確保、スロープの設置、客席も、取り外しが容易なイスで、30席ほどは確保してきました。
 聴覚障害者の方達に対する配慮としては、字幕団体の協力により、第10回目以降は、ほぼすべての映画に字幕をつけました。最初は、手書きの字幕をOHPで投影をしていましたが、その後、パソコンで作成した字幕を、画面の右端に投影するようになりました。また、シンポジウムやフォーラムなどでは、手話通訳・要約筆記の配置、会場内に磁気誘導ループを敷設し、聴覚障害者優先席を設けました。さらに、裁判所の書記官の方達による、ゲストがしゃべった言葉を文字に変換しスクリーンに投影する電子速記も試みました。
 視覚障害者の方達への配慮としては、点字パンフレットの作成、映画の画面の内容を伝える朗読ボランティアによる場面説明や、アナウンサーの方による音声ガイド(シーン・ボイスガイド)にも取り組みました。音声ガイドはその後、アナウンサーの方を講師にシーンボイス・ガイド養成講座へと繋がるなどの拡がりをみせました。
 20回をもって、惜しまれながらも終了した映画祭。これまでにも、「映画祭をやりたいよね」といった声はチラホラとありましたが、残念ながら実現には至りませんでした。

 

 2015年、AJU車いす自立の家25周年をひとつのきっかけとし、大上段に「福祉とは」というものではなく、楽しい啓発事業の一環として「福祉映画祭 in NAGOYA」を再開いたしました。

2015年には「東日本大震災」、「差別解消法の制定」をテーマに、
2017年1月には「障害者差別解消法」と「多様な生き方」について考えれるような企画とプログラムを盛り込み、

また、2018年2月には「家族」をテーマに取り上げ、

2015年の再開以来、継続的に「福祉映画祭 in NAGOYA」を開催をさせていただいております。

 

そして今年2月8日(金)、9日(土)と二日にわたり、上映映画計4本、またゲストをお招きしてのトークショーなど、盛りだくさんの内容で、名古屋学院大学にて福祉映画祭 in NAGOYA 2019」開催させていただく運びとなりました。

 

 

皆さまのご来場を心よりお待ちしております。